今、アラフィフの人気俳優の活躍が目立っています。この秋活躍する中年イケメンたちは20代の頃どんな活躍をしていたのでしょうか?振り返ってみると意外なキャラ替わりや、人気を二分したライバルたちなど、ちょっとした日本ドラマ史を楽しめるんです。
この秋は人気の中年イケメン俳優主演の新ドラマが大豊作!
唐沢寿明さん(1963年生)主演『ラストコップ』、沢村一樹さん(1967年生)主演『レンタル救世主』、織田裕二さん(1967年生)主演『IQ246~華麗なる事件簿』、阿部寛さん(1964年生)主演『スニッファー 嗅覚捜査官』(以上初回放送日順)…と、この秋はアラフィフの中年イケメンが事件解決や謎の解明で活躍するドラマが目白押しです。
20代から大人気俳優だったゆえに当たり役からの脱皮に苦しんだ人もいれば、俳優としての活路がなかなか開けずもがいていた人も。そしてそれぞれが若き頃に人気を二分したライバルもまたそれぞれの道を生き抜いていて、彼らの歴史をたどると日本の連続ドラマの歴史を垣間見ることができるのです。
中年イケメン名探偵!織田裕二の20代は?
織田裕二さんはこの秋、地上波の連ドラとしては2013年以来の登場となる『IQ246~華麗なる事件簿』で、「日本の歴史の陰に隠されたやんごとなき天才一族の末裔で暇つぶしに事件を解決する」というドラマオリジナルの新しい探偵像に挑んでいます。
初回放送後、そのあまりに独特な演技に「コロンボと古畑任三郎とポワロ(デビットスーシェの仕草と熊倉一雄の吹き替え)と杉下右京を足して4で割った」等賛否両論巻き起こっています。
ミステリードラママニアもそうでない人も巻き込んで突っ込み放題の騒ぎを引き起こせるのも織田裕二さんならではの底力、と言えるでしょう。
そんな織田裕二さんの20代は、1987年公開の『湘南爆走族』に数万人参加のオーディションから選ばれるという幸運から始まり、同じくこの映画で主役デビューした江口洋介さん(1968年生)と共演します。
その後織田さんは、映画『彼女が水着に着替えたら』で原田知世さんの相手役、「月9」の言葉を生んだドラマ『東京ラブストーリー』で鈴木保奈美さんの相手役、『振り返れば奴がいる』で石黒賢さんとダブル主演、そして29歳で『踊る大捜査線』で青島刑事という超ド級の当たり役に巡り合うという、俳優としてはこの上なく充実した20代を過ごしています。
しかしその引き換えに「何をやっても織田裕二」という強すぎる存在感と、当たりキャラからの脱皮に苦しむこととなり、本人的には後の『MOZU(主演・西島秀俊さん)』的なクールヒーロー像を目指したかと思われる『外交官 黒田康作』の評価は今一つ。社会派、コメディ等いろいろトライを続けて今回の天才ひまつぶし名探偵に行きついた感があります。
ただ、思い返してみれば、20代は世紀のイケメンだった田村正和さんは中年年代で『古畑任三郎』というキャラクターを生み出し、20代は熱血青年役だった水谷豊さんは中年年代で『杉下右京』というキャラクターを生み出しています。
織田裕二さんが50代を前に個性的な名探偵役の造形に臨むのは、若くして人気を得た男性俳優の“歴史の必然”なのかもしれません。
中年イケメン刑事!唐沢寿明の20代は?
10月~放送の『ラストコップ』で20代から30年間昏睡し、50代で目覚めて気持ちは20代のまま暴れまわる刑事を演じているのが唐沢寿明さん。
実際の唐沢寿明さんが20代の頃は、真面目な好青年役で人気でした。彼の大ヒット作品といえば、1992年放送で野島伸司さん脚本の『愛という名のもとに』でしょう。
『愛という名のもとに』は、大学のボート部で青春を共にした7人の男女の3年後を描く群像劇です。唐沢さんは、代議士の父の後を継ぐべく秘書を務める潔癖で堅実な青年高月を演じていました。
新人時代何度挑戦してもオーディションに受からず、助言を受けてポロシャツにチノパンという本人があまり好きでない爽やか青年風の服装で臨んだ途端に仕事が入るようになった、というエピソードからも、それが唐沢さんのルックスから求められるキャラクターだったと思われます。
その後も年齢を重ねるごとに『白い巨塔』『不毛地帯』といった山崎豊子作品の主役を演じ、大作御用達イケメンのイメージがありますが、『新・西遊記』での孫悟空や三谷幸喜作品など自身のキャラに近いと言われるひょうきんで元気いっぱいの役も沢山演じています。
唐沢寿明さんが現在出演中の『ラストコップ』はどちらかというと素に近い弾けた役で、アクションも満載。スーツアクターとしてアクション習得済みだったのですから、本当は20代でもこういう役で暴れまわりたかったのかもしれません。
人気中年イケメン江口洋介は20代で織田裕二とも唐沢寿明ともライバル役!
ところで、20代の頃、織田裕二さんと『東京ラブストーリー』で、唐沢寿明さんと『愛という名の下で』で、女性ファンの人気を二分していたのが江口洋介さんです。
独特の長髪がトレードマークで、続く1993年の『ひとつ屋根の下』の“あんちゃん”役で大ヒットを飛ばし、優等生ではない個性派イケメンの道を切り拓きました。
その後『救命病棟24時』の凄腕医師など、「腕は確かで寡黙な大人の男」へとキャラ変更を成功させ、今年夏放送の『はじめまして、愛しています』では不動産管理会社に勤務する実直でお人よしな平凡な男を好演していました。
また2010年からは『日経スペシャル ガイアの夜明け』の2代目案内人として日本の企業戦士たちを紹介しており、すっかり日本経済を支える「社会人男性が憧れる男性」的イメージを獲得しています。
日本ドラマ史を支える中年イケメンたちの今後の活躍に期待!
一方、『レンタル救世主』主演の沢村一樹さん(1967年生)、『スニッファー 嗅覚捜査官』主演の阿部寛さん(1964年生)のお二人は、20代の頃はモデルから俳優への転身にまだ試行錯誤している部分もあったようです。
阿部さんが当たり役『TRICK』の変人物理学者・上田次郎役に巡り合うのも、沢村さんが『浅見光彦シリーズ』の主演を引き継いだのも、30代に入ってからのことになります。
また、唐沢寿明さんが現在主演する『ラストコップ』の共演者で、唐沢さんが「どこから見てもイケメン」と絶賛する藤木直人さん(1972年生)と、『王様のブランチ』や料理番組でも活躍する谷原章介さん(1972年生)は、20代の頃、なんと映画『花より男子(内田有紀さん主演版・1995年公開)』でF4として共演していました。
谷原さんが道明寺司、藤木さんが花沢類を演じたそうです。
まさに中年イケメン俳優に歴史あり、ですね。日本のドラマ史を支えてきた中年イケメン俳優の活躍に今後も期待したいものです。